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嶋蔵さんと佐兵の謎とき

 むかし、佐兵という、おどけたことばっかり評釈きりで他人たまげらがしてばかり話語る人いだったど。
そしてこの片目の嶋蔵さんという人は、これは学者だったど。そして、ここさ、通し、佐兵があっちゃ廻りこっちゃ廻りして歩いたもんだからな、どこで飯(まま)食って歩くなんてないもんだから、そこさ泊まったど。
「ほんじゃ、今夜、佐兵、まず謎ときしんべ」
というたら、
「ほんじゃら、おれから謎とっか」
「ええから、ほんじゃらば、佐兵とかけて、何と解く」
というた。佐兵もなんぼ考えても考えらんねがったど。そうすっど、嶋蔵という人が、
「おれ解いでやる。佐兵とかけて、タムシと解く、そのこころは、グリグリ廻ってくる」
 そうすっど、家内中が大笑いしたんだど。
「親方、ほんじゃ、こんどおれが謎掛んべ、嶋蔵親方とかけて、何と解く」
 その学者の親方もちょっと分んねがったど。
「御祝儀の盃と解く」
 みんなだ、ちょっと分んねがった。御祝儀の盃なんて言わっでな。佐兵はまず返報がえしすんなだから、何と言うんだか、と親方も待っていたど。
「その心は?」
と聞いた。
「その心は、一生のカタメ」
 んだげんども、苦虫つぶしたような顔面したげんども、何とも仕方なくて、
「今夜ばかりはぁ、貴様に負けた」
と、カブト脱いだど。

嶋蔵さんと佐兵の謎とき