国産松茸を年に一度はご家庭で!

ローソクを持ち出した話

米沢藩では、ローソクはやたらに他領さ出さねことにしていたど。
佐兵はお番所(ばんどこ)を通るとき、大きいお茶箱さこげな小っちゃなローソクの破片(かけら)一つ入っできたずま。
「これは、佐兵、何背負ってきた」
「ローソクだ」
「ローソクは持って行っては駄目だ。開けてみろ」
といわれて、開けてみたところ、箱の中にこげな小っちゃなローソクの破片(かけら)一つしか入っていなかったど。
「はつけなもの差支えないから、早く持っていけ」
といわれた。その次は、ぎっしりいっぱい持って来て、「ローソク持(たが)ってきた」
というと、
「ああ、佐兵ローソクだら、ええ」
というた。
それから佐兵はローソクをかまわず持って行かれっかったど。

ローソクを持ち出した話