佐兵の首をはさむ
佐兵は冬になっど、藁(しぶ)仕事して、やんやんといっどこさ、ちえっと顔出すがったど。そうすっど、
「佐兵来たらは、首はさんで呉(け)れんべ」
と、みな戸の陰さ隠っで‥‥。ガラ-ッ、
「何しった。今日は何としった、若衆」
と、首出した。そんで首はさめて呉(け)れんべどて、戸をぐいっとすっど、戸はパッと一尺ぐらいで止まんのだど。
そいつは、ちゃんと板っ端(ばし)、持(たが)ってきて、敷居さ置いて、上がっているから、首はさまんねんだど。そして、「えへへえ」と笑って行くのだど。そして、とうしその藁(しぶ)仕事さ来て、いたずら語りして行くのだど。